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ドライテクニックについて

ドライテクニックの大切さ

赤ちゃんの体の仕組みを知ればわかる

胎内の赤ちゃんと大人の体の仕組みの違い

母親の胎内からオギャーと生まれた赤ちゃんの心臓は、力強く拍動し、酸素と栄養豊かな動脈血を体中に送り出します。脳や内臓、手足など、いろんな所で酸素や栄養分が使われています。

使った後に出た二酸化炭素や老廃物は、静脈血となって心臓に戻ります。右心房から入って右心室に行き、そして肺動脈に流れていきます。

肺では、二酸化炭素を放出し全部酸素に置き換えられます。酸素と結合した血液は肺から肺静脈、左心房、左心室へ。左心室の強いポンプ運動が全身に送り出されます。今、私たちがしゃべっている間にも心臓はもくもくと働いているのです。

ところが、お腹の中の赤ちゃん(胎児)の血液の流れは違います。酸素と栄養素は胎盤、臍帯を通じて全てお母さんからもらっているのです。胎児の心臓は、右心房と左心房の間に壁の穴(卵円孔)があいています。私たち大人は「心臓の壁に穴があいていたら大変だ」と思うでしょう。でも胎児は全員穴があいているのです。

臍帯から送り込まれたきれいな血液は、静脈管(アランチウス管)、下大動脈を通って右心房に入ります。そして心房の穴(卵円孔)を通り、左心房、左心室に入り大動脈に流れていきます。その血液のほとんどは脳と上半身に行きます。酸素と栄養豊かな血液は胎児の脳をどんどん発育させます。そして、また血液は心臓に戻ってきます。

酸素と栄養が少ない血液は、右心房から右心室に入って肺に行こうとします。しかし、肺はまだ仕事をしていないのと、肺の中の圧が非常に高いために、肺に流れていく血液量は全血液量の10%に過ぎません。残りの血液は肺動脈と大動脈をつなぐ動脈管(ボタロー管)を通り、下行大動脈に流れていきます。この血液は酸素や栄養素が少ないため、胎児の上半身の発育に比べ、下半身の発育がやや遅い原因の一つと考えられています。

参考文献/『解剖生理学』(医学書院)より

出生と同時に赤ちゃんの体に起きていること

赤ちゃんが「オギャー」と泣いて肺がしっかり働き出すと、心臓にある卵円孔の機能は不要になり、自然に閉じるようになっています。

人間の体はすごいんです。空気が肺胞を開き、赤ちゃんが「オギャー」と泣く。その後しばらく泣いていると、ちょっと皮膚の色が悪かった赤ちゃんが、10分〜15分ぐらいできれいなピンク色の肌になります。

これは血液の循環が大人と同じ流れになったということです。泣いている間に心臓の卵円孔が自然にふさがるのです。肺に100%血液がいくようになり、肺から酸素を取りこんだ血液が全身に動脈血として流れます。

memo

出生直後の新生児の変化

①羊水中から大気の中へ

②無菌状態から雑菌の世界へ

③肺呼吸の開始

④血液循環の変化

⑤自分で体温調整を行う

⑥哺乳の開始

体の中心に血流を送り、中心部を安定させることが大切

赤ちゃんは、肺や心臓など体の重要な機能が生まれた直後に急激に変化します。「元気に生まれてよかったね、誰々に似てるね」などと言っている間に、赤ちゃんの体の中ではプログラミングされた変化がおきます。

肺はガス交換を始めたばかり、そして血液の流れ方が変わった心臓は一生懸命全身に血を送り出します。だから体の機能はまだ危なっかしい状態です。そういう状態の赤ちゃんを清潔にするという目的だけで、38℃〜39℃のお湯につけるとどうなるでしょうか。血の巡りがよくなり、全身の皮膚の血管が拡張し、多くの血液が皮膚に流れこみます。やっと体の機能が整い、一生懸命心臓が全ての臓器に血液を送ろうとしている時に、外部から温めると末梢の血管が拡張し、皮膚に多量の血液が流れこむため、体の中心(臓器)を温めようとする血液の流れをじゃまします。

人の体は、脳や体の中心(内臓)が一番大切です。重要な体の中心は37℃の血液温度、皮膚の温度は30℃をきります。それは、体の中心に多くの血液を送るため皮膚の血管が収縮し、皮膚全体にたくさんの血液を送らないようにしているからです。赤ちゃんは、特に体の中心が大事なので、長く湯につけて末端を温めて皮膚の血容量を末梢に増やすのは負担になることがあります。

生後1週間程度は、ドライテクニックを用いて体への負担を軽くするのです。赤ちゃんの体の仕組みを知るとドライテクニックの大切さがわかっていただけると思います。

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